名演奏家の楽器
〈モーツァルト〉
18世紀後半、ドイツのヨハン・アンドレアス・シュタインは、ジルバーマンのピアノメカニズムにさらなる改良を重ね、ドイツ式またはウィーン式と呼ばれるアクションを発明しました。このメカニズムは長い間好評を得て、ドイツのピアノ工業に大きく貢献することになりました。
シュタインのピアノは、明るい音色と軽快なタッチをしており、平均された音色を気に入ったモーツァルトは、シュタイン製のピアノで数々の名曲を生み出しています。
〈J.C.バッハ〉
イギリスでは、ヨハネス・ツンペがクラヴィコードの製造方法を継承し、クラヴィコードにハンマーアクションを加えたスクウェアピアノを発明します。
1768年、ピアノをソロ楽器として初めて公開演奏したのはJ.S.バッハの息子、J.C.バッハでした。そのときに用いられたのが、スクウェアピアノです。
〈ベートーヴェン〉
ツンペが発明したイギリス式アクションを更に改良し、弦の弾力を増幅させてフレームを強固させたのが、イギリスのジョン・ブロードウッドです。1780年頃に発明されたブロードウッドのイギリス式アクションは、抵抗感のあるタッチを生み、力強い音を奏でました。現代のピアノの先駆けとなるアクションです。
ベートーヴェンは晩年、ブロードウッドが作った独特のタッチと音色を奏でるピアノを愛し、多数の名曲を生み出しました。ベートーヴェンの重厚な音楽には、こうしたアクションのピアノがピッタリだったのかもしれません。